そうか
もう19年か
あの時の思い出は
とにかく
寒かった…
松山千春の国家斉唱に心も震え
石井琢朗のセーフティーから
すかさず盗塁
鈴木尚典のタイムリーで
早くもお祭り騒ぎとか
19年前か…
それでも
あの地鳴りのような大声援
ハマスタが揺れ
ライオンズの選手達が
恐れおののいた
魔都・ハマスタの戦慄は
今でもこの胸に生き続けている
見える
見えるぞ
ベンチでの薄笑いは消え
余裕綽々でプレーしていた
選手達に異変が起こる
聞こえる
聞こえるぞ
地獄からの旋律が
魍魎どもの呻き声が
神々より与えられし免罪符
プラチナに輝くチケットを握り締め
天使達は
歩を進める
一歩、また一歩
聖地へと歩を進めるのだ
そして、
気付くのである
自分は天使ではない
悪魔なんだと
羊の皮を被った狼
体内を喰らい尽くすモンスター
天は裂け
水は割れ
悪魔達の歌声は
無垢な人間達を覚醒させる
やがて
風に乗り
流れに揺られて
貴公の身体をも蝕むのである
手足は震え
脳が痺れ
邪念は血となり
希望は肉となる
悍ましくも心地いい
魑魅魍魎どもの棲家となるのである
時は迫っている
逃げ場はない
分からないか?
貴公の身体にきたしている異変
分からないだろうか