こちらはハマ☆ベイ本社


最上階の豪華なGMルームで
お気に入りのハワイアンコナコーヒーに

オーナーから差し入れられた
東京バナナを頬張る

我らがカリスマ


湾岸のビリー・ビーンこと
敏腕GMぬまつだちゃん



イタリア直輸入
お気に入りにソファーに身を沈め

とてつもなく長かった
17年シーズンに想いを巡らす

目を閉じて、
走馬灯のように脳裏に浮かぶのは

CSの激闘に
日本シリーズでの悔しさ


それでも
既に18年シーズンは始まっているのだ

選手にオフはあっても
フロントにオフはないのである




そして今宵も
この静寂を台無しにする

あの男…




銀原
「GM!報告です、報告です!」



ぬまつだ
「うっせー、銀バエ!大事なティータイムを邪魔すんな!ボケっ」



銀原
「何度言ったら分かって貰えるんですか。銀バエでなく銀原です!GM補佐長の銀原です」



ぬまつだ
「ほお、少しだけ出世したようだね、銀バエくん。補佐長になったか」



銀原
「ハ、ハイ!これも全てGMのお陰で…て、散々呑み食いタカったじゃないですか!昇給したからって」



ぬまつだ
「人聞きが悪いねぇ、ささやかな昇進祝いを企画してあげただけだろ?それよりどうした?志村けんが結婚でも発表したか?」



銀原
「そんなことで報告しませんよ!沈着冷静な自分はそんなことで大騒ぎするはずないじゃないですか」



ぬまつだ
「40才年下の…ということならハイハイと聞き流すが、同級生と結婚だったら驚くだろ?」



銀原
「そら、まあ…て、違います!志村けんでも荒井注でもなく、大和です!今、大和選手から電話があってハマ☆ベイにお世話になりますと」



ぬまつだ
「ふーん」



銀原
「へ?興味ないみたいですね」



ぬまつだ
「明日、球団事務所で入団会見をするぞ。それから…テーブルの上にあるUSBを忘れるなよ。業者から納品された動画が入ってるからな」



銀原
「え?いきなり明日ですか!?それに動画って何なんです?」



ぬまつだ
「大和の入団会見で使用するイメージPVに決まってんだろが。FOR REALの製作を依頼した会社にセットで安く作ってもらったんだわ」



銀原
「ちょ、ちょ…映画作製の依頼したのって1ヶ月以上前じゃないですか!そんなに前から決まってたんですか!?」



ぬまつだ
「相変わらず仕事がトロいねぇ、銀バエくん。既にユニフォームも大和が望んだ9番で製作済み。グッズの発注も終わっとるぞ」



銀原
「いったい何時から…」



ぬまつだ
「売り込みがあったのは夏頃だったか…」



銀原
「う、売り込みって…大和サイドからオファーがあったんですか!?」



ぬまつだ
「若手起用の方針でプライドを傷付けられたんだろうな。彼のような職人は情熱家タイプの指揮官より、合理的に戦力や選手を判断する外国人の指揮官が合うということ。それに内野が手薄なウチの状況を冷静に分析した結果だろう」



銀原
「でも、それって…タンパリングじゃないですか!ルールがあるんですから、許されることじゃないですよ!」



ぬまつだ
「クックック…どこぞの親方のような正義感だね。銀バエくん、そんなんじゃ大人の世界は生き抜いては行けんよ。もっと大人になりまたえ」



銀原
「でもこれで謎が解けましたよ!最大の補強ポイントのはずの内野手をドラフトでも外国人でも獲得しなかった理由が。最初から出来レースだったんですね!」



ぬまつだ
「口が過ぎるようだね、銀バエくん。これを大人の世界では正統な企業努力と呼ぶんだがね。大人になりたまえ、大人に。ブワッハッハ」



銀原
「卑劣な…」



ぬまつだ
「なんか行ったか!リモコンで頭をカチ割るぞ、ごらぁ!」



銀原
「言ってません、何も言ってません!てか、こないだまではビール瓶でカチ割るって怒鳴ってたくせに。余計なとこだけは芸が細かい…」



ぬまつだ
「ふんっ。お、そうだ。思い出したぞ」



銀原
「何か?」



ぬまつだ
「もう一件、オファーが入ってる。そっちはお前に任せるから後は頼むぞ」



銀原
「へ?もう一件て…まさか、アノ球団を自由契約になった、アノM選手とか…」



ぬまつだ
「ほお…少しは勘が良くなったか。そのM案件をお前に任せるから、適切な判断をして適切に対処するように」



銀原
「そんなの考えるまでもありませんよ。獲得に動きます!カープの新井選手の良い例がありますから。必ずもうひと花咲かせてくれるはずです」



ぬまつだ
「新井?そんなピッチャーいたか?」



銀原
「は?野球見てませんか?カープの新井と言えば打者ですよ。古巣のカープに涙の復帰、優勝に貢献してファンの皆さんも涙したんです!その光景がウチでも再現されるんです」



ぬまつだ
「言ってる意味が分からんが…」



銀原
「いや、だから…村田さんですよね。GM、任せてください!足元を見て年俸は叩いてやりますよ!5千万…いや、3千万まで値切って契約します」



ぬまつだ
「確かに…オファーはあったがハッキリ断ったぞ」



銀原
「え?えええええっ!?」



ぬまつだ
「3千万どころか、タダでもいいからハマ☆ベイに復帰させて欲しいと。涙ながらに頭を下げてきたわ」



銀原
「流石にそれなら…ロペスや宮崎に何かないとも限らないし、新外国人のソトは未知数だし…」



ぬまつだ
「6年前のちょうど同じ日」



銀原
「6年前の…同じ日?」



ぬまつだ
「FA宣言した彼と残留交渉を行い…当時、こちらが出せるだけの金額提示と出来る限りの誠意を示したが…彼は首を縦に振ることはなかった」



銀原
「同じ日って、6年前に退団を決めた同じ日に交渉を行ったんですか!?」



ぬまつだ
「その通り。そして言ってやったぞ」



銀原
「ゴクリ…」



ぬまつだ
「6年前のキミは5億払っても引き留めたかったが…今のキミは5億貰ってもこのチームに必要ないとね」



銀原
「あわわわわわ…」



ぬまつだ
「それだけのチームになったと言うことだよ。彼が見捨てたこのチームで我々がやってきたことは間違っていなかったと言うこと。銀バエくん、胸を張りたまえ。前を向きたまえ」



銀原
「恐ろしい…この人を敵に回したら恐ろしい…でも、止まりません!溢れる涙が止まりません!6年間やって来たことは間違っていなかったんですね!」



ぬまつだ
「人は思い出を忘れることで生きていける。だが、決して忘れてはならないこともある」



銀原
「嗚呼…GM!涙が止まりません!もう、感動で…涙が止まりましぇん!」






ん?
あれ?




銀原
「あの、GM…もう一件のオファーって…?」












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